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残念エピソード

裁判中の残念エピソードNo.4

私たちは、書類がそろい次第すぐ特別養子縁組を申請しました。その時、養育期間は子どもを養育した時から数えるのか、申請から数えるのか、同じ裁判所であっても窓口と調査官とでは言うことが違いました。結局、養育開始から6カ月となりました。

申請から1カ月ほどたって、裁判所の呼び出しがあり、主人や私の兄弟姉妹の家族構成など「なぜそんなことまで聞くのか」というようなことを若い女性の調査官からいろいろ聞かれました。そして、そのとき、「なぜ特別養子縁組でなければならないのか。なぜ普通養子縁組ではいけないのか」とも尋ねられました。特別養子縁組では実親の財産を相続する権利がなくなりますが、「あなたたちに相続権を奪う権利があるのか」とも言われ、私も本当に特別養子縁組を求めていいのだろうか、それが息子のためになるのだろうかと、正直迷ったりもしました。

でも、やはり、親が二組、戸籍に並んでいては、自分はどちらの家の子どもなのか、大きくなって子どもが不安になるのではないか…と考え、それを呼び出しから2週間後の家庭訪問の時にも再び調査官に訴えました。話は始終和やかに進んで、まさかあのような結末になるとは、このとき思いもしませんでした。

家庭訪問から1カ月ちょっとたって、まだ養育期間も終わっていないというのに、調査官から電話がありました。「普通養子縁組にするようにというのが裁判所の決定だ」というのです。理由は、実親が「まとも」な人で収入もあり、特養を認めるほどの特別な理由が見当たらないということでした。

私は憤って、ではどういう場合に特養が認められるのか尋ねると「実親が殺人犯とか、その存在を隠したい場合」と調査官は答えました。それでは、日本で一体どれだけの子どもが特養の対象となるのでしょう?実親を隠すための趣旨でこの法律が作られたのではないはずです。調査官は「もう決定したことだから、ハンコを持ってこの日に裁判所に来るように」と言いました。

私たちは、思いを理解し協力してくれる弁護士を探して、再度申し立ててみることにしました。しかし、弁護士も「一度裁判所が決定してしまったら覆すのは難しい」と言います。
ただ、「裁判所に判を持ってくるように言った日をすんなり延ばしてくれたら可能性はある」と…。

弁護士が調査官と連絡を取ると、すんなりその日を延ばし、「もう一度調査するから時間が欲しい」と言ったそうです。それから私たちは、私たちの思いを綴った上申書を作成し、裁判所に提出しました。また、実親さんとそのご家族も協力して下さいました。調査官は、行方が分からなくなっていた、もう一方の実親も探し出し、特養でいいとの承諾を得ました。そして、それからほどなくして確定となったのです。

なぜ、「普通養子で」という前に、もう一方の実親を探そうとしなかったのか、なぜしっかり調査してから判断してくれなかったのか、確定が出たことは心底嬉しかったのですが、裁判所には複雑な思いが残りました。

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