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残念エピソード

実親さんの残念エピソードNo.3

私達夫婦は2人目の○○君との御縁をいただきました。
実母さんは未成年で特別養子縁組には自分から進んでではなく実母さんの母親に説得されてしぶしぶ同意したようだとを当初から聞いていました。その後の裁判もスムーズに進むものだとその当時は思っておりました。

しかしながら特別養子縁組の裁判申請から4ヶ月を過ぎた頃、裁判所の担当調査官から連絡があり、相手側との面接の際、母親は特別養子縁組を望んでいるが実母さんは頑なに特別養子縁組を拒否していて、養子に出すことを同意したことを後悔しているとのことでした。当初より相手側親子間の話し合いが平行線できちんとした話し合いがなされていないようだとの事でした。

一度裁判官が直接実母さんと面接を行う予定をしていて、場合によっては裁判が長引くものになるかもしれないと言われました。
ただ結審までまだ時間があるので相手側の気持ちが変わるかもしれないし何とも言えないとの事でした。
一抹の不安を覚え心中穏やかにはなれませんでしたが、成り行きを見守ることしか出来ず、裁判所からの連絡を待ちました。

養育期間の6ヶ月が過ぎさらに2ヵ月以上過ぎた頃、裁判所より特別養子縁組申立が認められた旨の通知が届き、2週間以内に相手からの抗告がなされなければ結審するとのことでした。
判決理由としては、当事者が未成年で実母さんの母親が特別養子縁組を望んでいること等の一切の事情を総合して、「養子となる者の利益を著しく害する事由」が認められるとのことでした。
又、裁判長との面接日においても連絡なしでの欠席だったようです。

この結審にひとまずは胸をなで下ろし、祈る様な気持ちで裁判所からの結審の通知書を待ちましたが、2週間以上たってから裁判所から届いたものは、実母さんより特別養子縁組には反対するとの「即時抗告」がだされたとの通知書でした。

とにかく不安にかられながらもこれまでの経緯や今後の手続きや流れについては高等裁判所での審議になるとのことで、一体どんなことが必要なのか、弁護士でもたてなければならないのか何もわからず管轄の高等裁判所に連絡しましたが、「必要があれば呼び出しがあるかも知れない、今後の進め方は裁判官次第」ぐらいしかわからず事務的なものでした。

Babyぽけっとでも高等裁判所以上での取扱い案件は初めてのケースで今後の流れについては想像がつかない様子でした。
事務局のほうにも相手側に連絡をとってもらいましたが連絡がつかないとのことで、先の見えない暗いトンネルに入ったような悶々とした日々を過ごしました。

特別抗告から約2ヶ月後に高等裁判所から電話及び通知があり、養育の方途について現実的・具体的な方策が示されなかったこと、また母親、実父からの協力が期待できず他に適任の監護補助者がいないことから家庭裁判所での決定を支持、抗告棄却の決定となりました。
と同時に相手側から今回の決定を不服とする更なる上告「特別抗告」の申立をしたいとの連絡があったことも知りました。
正直いつまで続くのだろうという思いや最高裁まで?どうしようもない感情が湧き、いろんな思いが錯綜して即時抗告された時以上のショックでした。

しかし、悲観ばかりもしておれず高等裁判所での決定=特別養子縁組が容認されたという事、更に相手側が上告し、裁判が継続し万が一異なる判決が出たとしても、この時点で入籍を済ませなければいけないと言われ、入籍期間が通常2週間でしたがタイムラグがあり1、2日のうちに入籍手続きをする必要がありました。その日の内に裁判所へ書類を貰いに赴き、さらにその足で市役所に行き、急遽、職権で子供の戸籍も取ってもらい何とか入籍手続き終えましたが、もちろん入籍出来たという晴れ晴れしい気持ちにはなりません。今後も裁判は続くのですから・・・

インターネットで特別抗告について調べたところ「原決定について憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とする場合に限って許される」もので、民事事件においてはよほどの事が無い限り高等裁判所での決定が支持され、最高裁まで審議されることはないとのことでしたが、こちらからは結果を待つことしかできませんで した。

1ヵ月後、○○君の1歳の誕生日をあと数日で迎えようとした矢先、高等裁判所より即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件の決定書が届き、特別抗告の却下が決まりました。
特別養子縁組申立から約11ヶ月にて裁判が結審しました。こうして今回の裁判は最高裁判所1歩手前で終結を迎えましたが、児童相談所の方の見解としても更に1年以上かかる可能性があると言われており長期戦になるだろうという覚悟はしておりましたが、相手側が抗告してから今回の決定まで終わってみると思った以上に早いものでした。

今回の結審において相手側が未成年であったことがこちら側に有利に働いた事は違いないことはいうまでもありませんが、子供の利益を守ることを最大に尊重させた裁判所が総合的に勘案して良心的な見解を示していただけたことも大きかったのではと思います。

この様なことはもちろん今後も無いにこした事はありません。裁判がこじれて最終的には我々の申立が通りましが、今回はいろいろな運も味方につけ短期間での決着になったのかもしれないと思っています。
複雑な気持ちは今でもありますが、それでも○○君が我々夫婦を選んでくれたこと、今まで以上に絆を強いものにしていかなければと思っており、糧にしていきたいと思っています。

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