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残念エピソード

裁判確定の感動エピソードNo.5

裁判の途中から実親さんと連絡が取れなくなってしまった、私たちの裁判のケースをご紹介いたします。

私たちの担当調査官は2児の母だという30代くらいの女性でした。初めての面接の際、私たちが抱いた小さな子供を見て「可愛いですねぇ」と目を細めて声をかけてくださった、とても優しい印象の方でした。

裁判申立書の理由欄にBPのホームページを記載していたため、調査官も事前に見てくださったようで、また、申立書に添えた縁組の委任状や承諾書等の書類が揃っているということで、BPの活動に対してとても好印象を持ってくださっているようでした。

その日は、これから進められる調査、裁判の予定が提示され、丁寧な説明がありました。
最終面接の予定の下には、試験養育期間が終了となる日として裁判の申立てをした日から起算した6か月目の日にちが記載されており、この日を目標に養親の家庭訪問と面接、実親さんへの調査も進めていくとのことでした。
各地域、各調査官によって試験養育期間に差があると聞いていたので、日程が明確に示されていることはとても安心できました。(私たちの地域では、民間団体からの縁組の場合、児童相談所の関与は無いとのことでした。)

最初の面接から約1か月後、調査官より実親さんとまだ連絡がとれていないと報告がありました。
郵便物は裁判所からの物とわからないようにしてほしい、という実親さんからの希望を伝えていたので、調査官もそれに従って発送してくれていましたが返信はなく、途中から実親さんが返信しやすいように返信用封筒に切手を貼って発送することを相談されました(切手代がこちらの負担となるため)。しかし、切手を貼って出すも、その後もやはり返信はなく、電話でも一切連絡がつかないとのことでした。
さらに約1か月後、今度は実親さんへの郵便物が宛て所不明で戻ってきたとの報告がありました。

そのため、実親さんの代わりにマザーさんから話を聞くことに方針を変えてくださいました。その際、現状も報告してくださっていたので、マザーさんからも実親さんに電話をしてくださっていたそうですが、その後も連絡はつかず時間だけが過ぎていきました。

子供のお引き渡しの日、マザーさんから「実親さんには子どものために裁判だけはしっかりやるよう伝え、本人も“わかった”と言っていたから大丈夫だと思う」と聞いていたため安心していたのですが、裁判が進まなくなってしまうのではないかと不安になりました。

調査官が調べたところ、実親さんの住民票が移っていないことから自宅を訪ねるという方法もあるようでしたが、“手紙と電話で何度も連絡を試みたが郵便物の受取りを拒否していること”、“委任状や承諾書等の必要書類が揃っていること”、“子供のために1日も早く入籍できるよう裁判を進めるべき”等の理由から、裁判所は最終的に実親さんの育児放棄と判断するとのことでした。

私たちとしては将来子供に真実告知をする際に、実親さんの行方がわからない状況のままで良いのだろうか?、育児放棄だと伝えるのだろうか?という疑問もありましたが、その一方で1日も早く実の子として子供を育てる環境を作ってあげたいと思う気持ちも強くあり、裁判所の判断を受け入れることにしました。

その後、当初の予定通り調査官による家庭訪問と面接が行われ、目標としていた期間で試験養育期間を終え、裁判官に調書を提出していただきました。
実親さんが所在不明となったため、審判書が届いた後「公示送達」という手順が必要となり、審判確定まで通常より長い4週間の期間が必要でしたが、それでも裁判申し立てから約7か月で審判が確定しました。

裁判中に実親さんと連絡がつかなくなるケースでは、裁判が長引いてしまったり、必要な書類や手続きが増えたりという話を聞きますが、私たちの場合は調査官と裁判官が子供のことを第一に考え、当初の予定通り裁判を進めてくださいました。
子供にとって何を優先すべきか、何が幸せなのかを常に考え、今回の裁判にご尽力くださった調査官と裁判官に心から感謝いたします。

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